着るものも、住む家もない、
産まれてから一度も洗われたことがないと思われるほどのドレッドになった大量の髪をそのままに道を歩く、
その人間は助けられることもなく放置される。
何色かわからない布切れを最小限にまとったその人間が歩いてきた道筋には 驚くほどの悪臭と化した体臭がいつまでも残っている。
だれもその者を助けない。
その者がふらふら歩く脇を猛スピードで通り過ぎてゆく高級車たち。
あちこちにそういった人はいる。
だが、誰も助けない。
わたしも助けない側の一人だ。
どうして、どうやって、何をしていいのか、わからない。